ワインバーの隠れ家的名店、西荻の"L***"で、春藤社長から、「前田も早く書けよ!何でもいいからさー」と言われ始めたのは、まだ暑かった今年の8月。
脚本ではなく、このブログのことです。
「まだ書いてないヤツがいっぱいいるじゃん!皆が一通り書いてから書くよ」と延ばし続けていたら、最近は、山下監督はじめ、向井君や宮下さんも続々と素敵な文章をアップ。
「参ったなー。順番が回ってくる!」
私はオロオロしだし、うつむいてカルヴァドス(=リンゴ蒸留酒の安いもの)を舐めながら先月までを過ごしていましたが、そんな私にも、ついに書かずにはいられない大事件が勃発!
17年に及ぶピクニック史上最大のトピックが巻き起こったのです。それは・・・
「映画賞!」。
いま、私のアタマはこのことでいっぱいです。

行くヒマがなくなったワインバーの図
つい3週間前に、萩生田監督が撮った「神童」にご出演いただいた成海璃子さんが、第31回「山路ふみ子新人女優賞」を受賞され、
http://news.goo.ne.jp/article/sponichi/entertainment/kfuln20071201006007.html 「うーむ、成海さん本人の卓越した実力はもとより、萩生田君の演技指導の功績も大きいかも」と、こみ上げてくるうれしさを隠しながら過ごしていたら、今度は、第32回報知映画賞選考委員会から連絡が・・・
「天然コケッコー」を監督した山下君が「最優秀監督賞」、それも史上最年少での受賞、そして、その映画に出演いただいた夏帆さんが「最優秀新人賞」に決定したとのお達しでした。
にわかには信じられない吉報で、この喜びはもうとても隠しきれません。

山下監督は31歳最年少受賞
http://hochi.yomiuri.co.jp/event/culture/news/20071128-OHT1T00086.htm ご存じのように、映画賞といわれるものは、その年度内に国内で公開されたすべての映画が候補となって選考されていきます。
日本映画に限りますと、その数は約400本。その中のほんの数本が受賞の栄誉に浴するという、まさに「狭き門」なのです。
http://hochi.yomiuri.co.jp/event/culture/news/20071025-OHT1T00112.htm 当社のように小さな会社が、そのような大きな賞にいくつも関われたのはまさに奇跡。まだ「神童」と「天然コケッコー」、たった2本の映画しか公開できていないのに、です。
「2年前に思い切って映画作りへと大きく舵とりをして本当によかった。あの時の決断は間違いではなかった」と思うと、心の底から安堵感がわき起こり、そしてなぜか、「あー、助かった!」とワケもなく胸をなで下ろしてしまいました。
一応、当初から理想は高く、「業界最高の知性と良心を結集して映画を作ろう!」と大風呂敷を広げて皆に説き続け、そのつもりで運営してきたものの、内心はものすごく不安で、こうも早くその成果が出たり、皆さんから評価がいただけるとは思ってもみませんでした。
それゆえ、受賞の報に接して以来、今日までずーっと、しみじみ、その喜びをかみしめては、カルヴァドスと一緒に「ゴックン」と身体に流し込んでいます。
といっても、各賞は、監督個人や俳優さんへの授賞であって、直接的に当社の栄誉とは呼べないかもしれません。
しかし、1本の映画が企画から完成、そして公開に至り、その後、衆目にさらされながら名作として育ち、やがてそこから名監督や名優が生まれていくまでの道程には、少なくとも数百人のスタッフや関係者のご苦労、ご尽力、ご協力があり、そのうえに、最後には観客の皆様のご支持が必要でした。
制作会社としての当社はたんなる黒子でしかありませんが、泣き、笑い、呻きながら、それでも何とかして理想に近づけたい一心で完成、そして公開にこぎ着け、世に問うことができた作品が、それなりの評価を得たことは、何にも代え難い喜びです。
制作会社として、あらためてこれらの映画に携わってくださった皆様一人ひとりにお礼を申し上げたいと思います。
本当にありがとうございました。
「1に品質、2も品質」のスローガンのもと、いつのまにか、20名近いスタッフが集まってしまい、食べていくだけでも大変ですが、さらに努力を重ね、日本映画の歴史に、たとえ小さくてもキラリと輝く足跡を残せる会社にしていきたいと思います。
今後ともご支援、ご指導をよろしくお願いいたします。
このたびは本当にありがとうございました。
前田直典
posted by ピクニック at 15:42|
日記
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